大鰐温泉(Owani Spa 


施設名 福士旅館
場 所 青森県大鰐町大字大鰐
源泉名 植田源泉
泉 質 ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(食塩泉)
温 度 72.0℃ pH 7.7 溶存成分総計 3,422mg/kg
お湯の様子 無色透明,芒硝臭,弱塩味,かけ流し,あつめ
料 金 日帰り不可 営業時間

 大鰐温泉街,共同浴場山吹湯のすぐ裏手にある老舗の温泉旅館。こぢんまりとした温泉旅館で、手の込んだ料理が自慢のお宿。昔ながらの小さい旅館に少しずつ増改築を重ね、横に広がっていったため館内が迷路のように入り組んでいる。大浴場と家族風呂があり、それぞれの浴室を貸切で利用する仕組みになっているため、日帰り入浴はできない。今回は突然家族サービスで弘前に行くことになり、その日の昼に電話で宿泊予約をしたため夕食は抜きで朝食付き6000円という設定で宿泊利用した。

 到着は21時になり、宿に着くと6号室に案内された。若女将さんが親切に館内を案内してくださり、部屋にはすでに布団も用意してあった。この6号室、6畳間に床の間、そしてテラスのような3畳スペースがある。鍵は昔ながらの金色の鍵。天井や窓、竹を曲げて作られた灯り窓など、実に昔ながらの懐かしい純和風な雰囲気を演出している。まるで江戸川乱歩の小説の1シーンに出てきそうな部屋だ。テラスのイスに腰掛けて物思いにふけると、まるで小説の中に出てくる一紳士になったような気分になる。
 この日はこの後すぐ家族で大浴場のほうを貸切利用させてもらい、体の芯までぽっかぽかに温まった。大浴場は一度に8人くらいが利用できるゆったりとした広さで、四角いタイル浴槽に浸透式の湯口を通して底からお湯が注がれる仕組みだ。浴室全体にうっすらと芒硝系の香りがし、熱気が篭もっていた。お湯と水は別にある蛇口からも注がせることができ、自分で好みの湯温に調整できる。お湯の詳しい様子は次の日の朝の家族風呂のレポートで…。そして湯上がりに冷たい水を飲み、ふかふかの布団でゆっくり休んだ。
 次の日は朝から個人的に家族風呂の方を利用させてもらった。家族風呂は4分の1円の形をしたタイル浴槽が一つあり、狭いながらも1人でのんびり浸かれるほどの広さがある。浴室を開けた瞬間に香る芒硝系の香りがとても心地良い。お湯は大鰐温泉では貴重な「植田源泉」を利用しており、共同源泉よりもやや熱めで塩分が濃いめに感じられるお湯だ。体にピリッとさし込むような浴感があるが、次第に慣れていき気づけば適温に感じられる。体が真っ赤になるまで浸かり、そして狭いながらも体を伸ばし洗い場にトドになって天井を眺めてみた。それまで気づかなかったが、床のタイル、浴槽のタイル、壁のタイルとそれぞれ大きさが違い、絶妙な配置で彩りを鮮やかにしている。そして壁面から天井にかけて小さいタイルが芸術的にアーチを描き、天井のカーブを作り出していた。以前熱海温泉の龍宮閣で見たことがあるタイルによるアーチ状の天井と同じだ。体中から吹き出していた汗が乾いて体の火照りがとれたころ、再び熱めのお湯にとっぷりと浸かる。これを繰り返し1時間近くも浴室を独占利用させてもらった。幸せな極上のひとときだった。

 朝食は別室にてお膳で頂いた。朝から手の込んだ料理が並びどれも美味しく頂いた。一つ一つの料理に女将さん、若女将さんの優しい心遣いが感じられる素敵な朝食だった。

 この福士旅館は、昔ながらの和風建築を大切に残した日本の温泉文化遺産の一つだと思います。昭和の雰囲気を保ちつつ、インターネットや地デジ対応テレビなど新しいニーズにも対応している。故きを温めて新しきを知る、という故事成語にあるように、昔の良さと今の便利さを併せ持つすばらしい旅館だと思う。昭和の雰囲気を求める温泉好きの人には一押しです。

H23/5/1

  
今回利用した6号室。6畳の部屋に照らすルームが付く。   昔ながらの鍵。この鍵に久しぶりに出会いました。   手の込んだ朝食。本当に美味しいです。

  
こちらが大浴場。一度に6〜8人が利用できるサイズ。   お湯は大鰐でよく見られる浸透式の湯口。蛇口からも継ぎ足せます。   溢れ行くお湯たち。いい香りを漂わせます。

  
こちらが家族風呂。4分の1円のタイル浴槽。トドにもなれます。  底から浸透させる湯口以外に自在に継ぎ足せる湯口。   天井のカーブタイル。芸術の極みです。


 湯めぐらんすin駅前温泉で宿泊利用しました。今回は念願の2食付きでの宿泊です。玄関前に掲げられた「歓迎、湯めぐらんすご一行様」という手書きの歓迎札にまずは感激しました。雪がしんしんと降り積もる中、植田源泉はこんこんとわき続けて待ちかまえていました。冷えた体をしっかりお湯で温め、いよいよ夕食タイムです。一つ一つが手の込んだ料理で、どれも美味しく頂きました。自分はあまり旅館食は食べない方なのですが、しっかりと完食してしまいました。夕食後に部屋に戻ってみんなで2次会をしていたのですが、気がつけば一人、また一人とさりげなくお湯に浸かりに行っていました。自分も宴会途中で1回と夜寝る前に1回、朝1回と合計3回お湯に浸かりに行きました。やはり素敵なお湯です。今回はなぜか自分は全て大浴場を利用しました。一人きりで浸かりたいときは家族風呂、みんなとトークに花が咲くときは大浴場なんですねぇ。
 朝食も前と同じく美味しい料理が出てきました。一緒に参加したメンバーからは大好評で、大鰐の福士旅館を選んで良かった!という声がたくさん聞こえてきました。
 大鰐に宿泊を考えている方は、ぜひこういうこぢんまりしたアットホームな旅館を選んだ方が良いと思います。

H24/1/7宿泊

  
玄関前に掲げられた手書きの達筆な歓迎看板。うれしかったなぁ。   こちら男性陣が利用した12号室のメイン部屋。   こちらが夜の宴会に使われた12号室の小部屋。

  
こちらは女性陣が利用した部屋の一つ、11号室。どの部屋も落ち着いた雰囲気。   鍋、刺身、山菜など、どれも手の込んだものです。   朝食は温泉もやしが出ました。