浅虫温泉(Asamushi Spa)
施設名 旅館あんず 場 所 青森県青森市浅虫字蛍谷 源泉名 浅虫温泉配湯泉 泉 質 カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉
(低張性中性高温泉)温 度 58.6℃ pH 7.4 溶存成分総計 969mg/kg (SO4 420.8mg , Na 168.6mg , Ca 115.2mg) お湯の様子 無色透明,薄塩味,しっかり芒硝臭,とろっとした浴感,源泉掛け流し 料 金 日帰り入浴
設定なし営業時間 11月〜3月まで冬季閉鎖 宿主から正式に廃業との連絡がありました。長い間の旅館経営ごくろうさまでした。
青森市の外れにある浅虫温泉にある大正時代に建築された歴史的建造物の鄙び旅館。もともと大正時代に建築された際は個人の別荘として造られたもので,それを現在の宿主が48年前に譲り受けいろいろな部分を少しずつ改装し,旅館として営業し始めたもの。宿主が80歳を越え,手が回らなくなってきたため素泊まり旅館として現在は営業し,近いうち(あと2年かなと言っていた)に営業も止めようと考えているという。日帰り設定が無いため,外来入浴では利用できない。今回は自分自身の出張のために宿泊で利用した。ちなみに宿の名前の「あんず」は宿主のおばあちゃんの名前からついた。
まず入ってびっくりするのが旅館内のありとあらゆるもの(柱,梁,階段の手すり,欄間,黒電話等々)がレトロな雰囲気である。建物とその中とまるごとまさしく文化遺産。今旅館申請すると間違いなく消防法に引っかかりそうなくらい古い建築物だ。宿主もそのために改築や増築ができないのだと言っていた。宿主が元気だった頃は自身が全てこだわって手作りした料理をもてなしていたらしく,さらにその頃は浴室も湯気抜きが屋根に付いた昔ながらの完全木造の湯小屋だったという。ぜひそのころに来てみたかった。
浴室は1階の一番奥にあり,最近リニューアルしたっぽい現代風の造りをしている。1つしかない浴室を貸切利用する仕組みとなっており脱衣所も一つしかない。浴室,浴槽はタイルづくりのシンプルなものとして造られており,広さは小さめの2人サイズ。洗い場も2人程度で利用する広さしかなく温度調節付きシャワーカランが1つあるだけ。普通の蛇口からひねって出されている源泉は,その日の朝から(今日宿泊利用する私だけのために)ちょろちょろ根気強く貯め続けてきたもので,全く加水されていない。ちょっとしぼりすぎていたためやや温めだったが,自分が入るときは思い切り蛇口を全開にして熱湯にして入らせてもらった。この広さだとさすがに源泉そのままのパワーを感じます。加水無し,加温無し,循環無し,消毒無し。気持ち良いです。無色透明で見た目は特徴がないお湯だが,お湯が濃い分しっかり芒硝臭が感じられる。うっすらと塩味も感じられ,熱くすれば熱くするほど芒硝泉らしくびりびりする。 ちょっと熱くなりすぎたかなと感じて温度を測ってみるとまだ43℃だったり,感覚が麻痺してしまいそうになる。そして何といってもこの狭い浴槽からお湯を贅沢に溢れさせる快感がたまらない。入浴中に電気系統の故障に逢い,暗くなった浴室で過ごすというハプニングもあったがそんなの関係なし。逆に薄暗い浴室の中ですぐ裏にあるJR東北本線を駆け抜ける特急列車の音と湯が注ぐ音を聞きながら目を閉じて,じっくり時間をかけて浸かることができた。この日の夜,次の日の朝と通算で4度も入浴してしまいました。こんなに宿泊で入浴しまくるのは久しぶりのような気がします。いろいろな意味でほっとする宿です。宿主が元気なうちにまた訪問して,ゆっくりと浅虫のお湯を堪能してみたいです。
H18/9/23宿泊
こちらが1つしかない浴室の浴槽。 小さいからこそわかるお湯の良さ。改装前の古い浴室に浸かってみたかった。 桶はレアアイテム白ケロリン桶。
廊下にあった行灯は広島の業者特製のもので,30年前の作品。 今回泊まった部屋。一人泊ではもったいない広さ。
窓壁などにもかなり芸術的な昔のロマンが漂う。